急ぎたい。でも回り道を選ぶ勇気

「急がば回れ」。
この言葉が、最近やけに胸に沁みてきます。
私は日々、目の前の仕事に全力を注ぎ、すぐにでも結果を出したいと願っています。
トライアンドエラーを繰り返し、工夫を重ね、それでも結果が見えないとき──
気がつけば、焦りや苛立ちが自分を支配しはじめます。
■ 急ぎたい。でも回り道を選ぶ勇気
本来、結果を出すためには時間がかかるものです。
しかし、それを「今すぐ」と思うあまり、準備不足のまま突き進んでしまう。
心理学者ジャン・ピアジェは、発達には「段階」があると説きました。
理解・行動・応用、それぞれの段階を一つずつ進むことが、やがて“飛躍”につながる。
それは、大人にも、子どもにも同じことが言えます。
ここで思い出すのが、リンカーンのこんな言葉です。
「木を切るのに6時間与えられたら、最初の4時間は斧を研ぐのに使う。」
– エイブラハム・リンカーン
結果を出すには、まず「準備」にしっかり時間をかけることが大切なのです。
■ 焦っているときにこそ、立ち止まる力を
焦っているときほど、自分では「頑張っている」と思いがちです。
でも、その実、準備や学びが浅くなり、逆に遠回りしてしまう。
教育学では、「リフレクション(内省)」の重要性が説かれています。
自分の行動を客観的に振り返り、「なぜその結果になったのか?」を見つめ直すこと。
これが成長を促す最も大きな鍵になります。
大人も、子どもも同じ。
だからこそ、私たち大人がまず「立ち止まる勇気」を持つ必要があります。
■ 子どもたちにも伝えたい、“結果を焦らない力”
子どもたちもまた、
「すぐに成績を上げたい」「早く志望校に受かりたい」と願っています。
でも、成績や成果は、“今まで積み上げてきたもの”の結果であり、
「すぐに変える魔法」なんてありません。
大切なのは、「今、必要なことは何か?」を見つけて、
それにエネルギーを注ぐこと。
急がず、焦らず、地道に進む。
その姿勢を見せてくれる大人が、子どもにとっての道しるべになるのだと思います。
【あとがき】
最近の自分は「急ぐこと」が目標になっていました。
でも、立ち止まり、見つめなおし、もう一度“本当にやるべきこと”に向き合う時間こそ、
結果につながる一歩なのだと、今あらためて感じています。
焦らなくていい。
歩く速度を落としていい。
ただし、止まらずに歩き続けること。
それが、「急がば回れ」の精神。
そして人生という「一方通行の切符」を持つ私たちの、
最良の進み方なのかもしれません。

守田 智司

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