「よく噛む」ことが、心と学びを整える。

最近、意識していることがあります。
それは、「ご飯をゆっくり噛んで食べる」こと。
今までは、つい早食いになってしまい、外食でも家でも妻より先に「ごちそうさま」を言っていました。
でも今は、妻のペースを基準にして、あえて自分のほうが遅く食べ終えるように心がけています。
するとどうでしょう。
以前より少ない量でも満腹感を感じられ、食後も心地よく、体が整っているように感じるのです。
さらに、「咀嚼」の効果は体だけではありません。
噛むことで脳への血流が増え、
前頭前野(思考・判断・感情をつかさどる)の働きが活発になることが、
脳科学の研究でも明らかになっています。
つまり、「ゆっくり噛んで食べる」という行為は、心と頭を整えるトレーニングでもあるのです。
咀嚼とは「味わうこと」。
これまでは食べ終わった瞬間に「次は何をしよう?」と、先へ先へと急いでいました。
でも今は、目の前の一口一口に集中する。そこに心のゆとりが生まれてきた気がします。
さらに最近は「旬のもの」をいただく機会にも恵まれています。
たとえば今の季節なら、えんどう豆やさやえんどう。
瑞々しくて、甘みがあって、噛むほどにおいしさが広がる。
旬のものをいただくというのは、その季節のエネルギーを体に取り込むこと。
それはきっと、自然と調和する生き方でもあり、健康的な体づくりにもつながっているはずです。
この「咀嚼する」という行為、実は学びにもつながると思うのです。
「早く解きなさい」
「もっと量をこなしなさい」
こうした言葉は、受験生に向けてよく投げかけられるものです。
しかし、知識をゆっくり噛みしめるように学ぶこと。
ひとつの問いにじっくり向き合い、「なぜそうなるのか?」と考えること。
これはまさに思考の咀嚼であり、学びの本質ではないでしょうか。
すぐに答えを求めず、考え抜く力を育てたい。
そのためには、心の余白が必要です。
そしてそれは、食事のときに「ゆっくり噛む」という習慣から、静かに始めることができるのです。
かのスローフード運動の提唱者カルロ・ペトリーニはこう言っています。
「私たちは、急ぐことに疲れている。もっとゆっくり生きるべきなのだ。」
日々のご飯を「ゆっくり噛む」ことで、身体だけでなく、心と頭にも栄養が届いていく。
そんな小さな習慣を、大切にしていきたいと思っています。
Nichole Nordemanの「Slow Down」(2015年リリース/アルバム『The Unmaking』収録)は、子どもの成長を見守る親の視点から「時間の流れをゆっくりにしてほしい」という願いを込めたクリスチャン・コンテンポラリーのバラード。
I am your biggest fan
I hope you know I am
But do you think you can somehow
Slow down
このサビの部分では、親が子どもに対して「少しだけ成長のスピードを緩めてほしい」と願う気持ちが込められています。

守田 智司

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