「うちの子が勉強しない」と悩む前に――子どもの学習習慣は親の姿から始まる

「うちの子、まったく勉強しないんです」
保護者の方から、よくこんなお悩みを聞きます。
でもその背景には、子ども自身の問題だけでなく、「家庭の空気感」や「親の姿勢」が大きく影響していることをご存じでしょうか?
学習塾を長年運営してきた立場から、多くのご家庭を見てきた経験とともに、
「子どもが自然に学習習慣を身につけるために、本当に必要なこと」についてまとめました。
◆ 子どもの学習習慣は「親の姿」から始まる
子どもが勉強をしない、と嘆く保護者の多くは、
小学生の段階で「学習習慣の土台づくり」にしっかり取り組んでいない傾向があります。
また、「自分の行動が子どもの未来にどれほど影響を与えるか」についての意識が薄いというのも、よく見られる特徴です。
子どもは親の背中を見て育ちます。
親が学び続ける姿を見せていれば、自然とそれが「当たり前のこと」として身につくのです。
◆ 家は「だらだらする場所」になっていませんか?
もちろん、仕事で疲れて帰宅し、「家では休みたい」と思うのは自然なことです。
ですが、家の中が常に「休むだけの場所」になっていると、
子どももまた「家では何もしなくていい」という空気に染まってしまいます。
「学校で頑張ってきたんだから、家ではダラダラしてもいい」
「親もダラダラしてるから、自分もまあいいか」
この空気が習慣化してしまうと、学習モードへの切り替えが非常に難しくなります。
◆ せめて「受験期の1年」だけでも、空気を変えよう
家全体の生活スタイルを一気に変えるのは難しいかもしれません。
でも、たとえば「子どもが受験生になるこの1年間だけは、家の空気を変える」という考え方ならどうでしょうか。
この期間は、親自身が生活態度を少しだけ変えて、
「一緒に戦う仲間」として行動することがとても大事です。
テレビを控えて、読書や静かな時間を意識的に増やす
家族全員で勉強タイムを作ってみる
一緒に学ぶ姿勢を見せる
こうしたことが、子どもにとって大きな励ましになります。
◆ 受験生は「王様」じゃない。でも応援団は必要
受験生になると、親も気を遣って過保護になってしまうことがあります。
けれど、子どもを「王様」のように扱ってしまうと、学びの主体性を失ってしまいます。
サポートは必要ですが、必要以上の手出し・口出しは逆効果になることも。
「応援団として支えるけれど、主役はあくまで君だよ」
そういう距離感が理想です。
◆ 自分の学生時代と比べすぎないこと
親がつい言いたくなるのが、
「自分の学生時代はもっと頑張っていた」という言葉。
でも、これは親自身のストレスを増やし、子どもにもプレッシャーを与えるだけになってしまいます。
子どもが今、必死に頑張ろうとしているその姿勢を認め、
親自身も学ぶ気持ちや姿勢を見せていくことが、信頼関係につながります。
◆ 勉強は「ギフト」。押しつけでは伝わらない
勉強とは、将来の自分を豊かにしてくれる大切な贈り物(ギフト)です。
しかし、それを「義務」や「罰」として押しつけてしまうと、
子どもは「親のためにやらされている」と感じてしまいます。
心理学ではこれを「外発的動機づけ」と言い、
本来必要な「内発的動機づけ=自分の意志で学ぶ力」が育ちません。
まずは、親が「学ぶって楽しいよ」という姿を見せること。
それが一番の伝え方です。
◆ まとめ:親のマインドが変われば、家庭も変わる
子どもの行動を変えようとする前に、
まずは親自身のマインドセットを変えてみることが、学習習慣づくりの第一歩です。
家の空気を整える
親が学ぶ姿を見せる
受験期は特別な期間として共に取り組む
押しつけず、応援団として支える
子どもが「学ぶっていいことだ」と思える家庭環境を作ることこそが、
「勉強しなさい」と言葉で伝えるよりも、ずっと強い教育です。
子育てとは、子どもだけの成長の物語ではありません。
親にとっても、「学び直し」「気づき」「心の変化」の連続です。
子どもが勉強と向き合う姿を通して、
親自身も何かを学び直す――
そんな親子関係が、きっと一番強いのではないでしょうか。

守田 智司

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