新年度に始めた「バレットジャーナル」─ 手書きの力

新年度が始まり、私は新たに「バレットジャーナル(Bullet Journal)」というノート術を取り入れました。
これまで私は、Googleカレンダーに日記を書いて記録をしていましたが、4月から「手書き」に戻すことに決めました。
手書きの大切さを感じる中で出会ったのが、このバレットジャーナル。
これはライダー・キャロル(Ryder Carroll)という方が考案したもので、「人生を変えるノート術」とも呼ばれています。
バレットジャーナルとは?
バレット(bullet)は「箇条書き」、
ジャーナル(journal)は「日記」や「記録」という意味です。
予定や目標、ToDoリスト、日記などを、自由な形式で箇条書きにして書きます。
その日その日の行動や思考、気づきをノートにまとめていくという、非常にシンプルで柔軟な方法です。
実際に始めてみると、頭の中が整理され、やるべきことを行動に落とし込みやすくなるのを実感しています。
「毎日をどう動くか」が明確になることで、無理なく前に進めるようになる感覚があります。
バレットジャーナルがもたらす心理学的な効果とは?
私自身、バレットジャーナルを始めてから、頭の中が整理され、行動がスムーズになったことを実感しています。
この効果は、単なる気分の問題ではなく、心理学的にも説明がつくことなのです。
1. 書くことで「思考の整理」が進む(認知の外在化)
人は頭の中だけで考えていると、思考がぐるぐると回り続け、整理されないままになることがよくあります。
心理学では、これを「ワーキングメモリ(作業記憶)の限界」といいます。
バレットジャーナルのように、頭の中の考えを外に書き出すことで、
脳が情報を一時的に外部に「預ける」ことができ、
認知負荷が軽減され、思考が整理されやすくなるのです。
これは「認知の外在化(externalization of cognition)」と呼ばれています。
2. 書くことで「自己認識」が深まる(メタ認知)
日々の思考や行動をジャーナルに記録することで、
自分自身の考え方のクセ、行動パターン、感情の動きに気づくようになります。
これは、心理学でいう「メタ認知(自分の思考を客観的に見る力)」が高まっている状態です。
メタ認知が高まると、感情のコントロールや問題解決の力が上がることがわかっています。
3. 小さな達成感が「自己効力感」を育てる
ToDoリストや目標を書き、それにチェックを入れる。
この小さな「できた」の積み重ねが、自己効力感(self-efficacy)を高めてくれます。
自己効力感とは、「自分はやればできる」という感覚のこと。
これが高まると、前向きに物事に取り組めるようになることが、数多くの研究で明らかになっています。
ChatGPTとの連携
さらに、私はこのジャーナルをつける中でChatGPTを活用しています。
自分のアイデアや考えを言語化するとき、ChatGPTに質問を投げかけ、その回答をノートにメモします。
そうすることで、思考がより整理され、アイデアが広がり、深まっていくのです。
そして、なぜ新年度からこの手書きのノート術を取り入れようと思ったのか。
それには、私が運営する学舎「マナラボ」での取り組みが大きく関わっています。
現在、私は生徒たちに「スタディログ」というノート活動を導入しています。
スタディログ
これは、ただ「勉強しなさい」と言うだけではなく、
自分で考え、計画し、振り返るという学びの習慣を身につけるためのツールです。
「どう勉強すればいいかわからない」
「スケジュール管理が苦手」
という生徒に対して、感覚的にやらせようとしても、なかなか定着しません。
そこで私は、バレットジャーナルの考え方をヒントに、スタディログを作りました。
これは、生徒自身が自分で思考を整理し、目標を立て、毎日の学びを記録するためのノートです。
このスタディログを、実際に3月から生徒たちに使わせ始めたところ、目に見える成果が出ています。
勉強に対する意識が変わり、自分で考えて行動できる生徒が増えてきているのです。
「手で書く」ことには、不思議な力があります。
それは、大人にとっても子どもにとっても、思考を整理し、日々を前向きに進める支えになります。
このように、バレットジャーナルは単なる手帳ではなく、
「思考の整理」「自分を知る」「行動につなげる」という、
心理的な面でも非常に効果の高いツールなのです。
この春、新しいことを始めたいと思っている方には、ぜひバレットジャーナルやスタディログのような「手書き習慣」をおすすめしたいです。
きっと、何かが変わり始めるはずです。

守田 智司

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