令和7年度愛知県公立高校 第2次選抜の募集人数 『令和6年度と比較して』

令和7年度の愛知県公立高校入学者選抜・第2次選抜の募集人数が発表されました。
昨年度(令和6年度)と比較しながら、その変化について考察していきます。
令和7年度2次選抜
1. 令和7年度の全体的な傾向
まず、昨年度と比べて募集人数は大幅に増加しています。
- 令和6年度:69校・1校舎・93学科・2032名
- 令和7年度:67校・1校舎・104学科・2376名
約300名程度の増加があり、公立高校の定員割れ問題に対応する動きが強まっていることが分かります。
2. 定員割れした主な高校の変化
特に普通科の高校では、募集人数が大きく増加した学校がありました。
普通科の募集増加が目立つ高校
- 吉良高校(普通科)
- 令和6年度: 43名 → 令和7年度: 70名(+27名)
- 幸田高校(普通科)
- 令和6年度: 47名 → 令和7年度: 68名(+21名)
- 岩津高校(普通科)
- 令和6年度: 40名 → 令和7年度: 45名(+5名)
この3つの高校には共通点があるのではないでしょうか。通学のしやすさや地域での人気が影響し、定員割れが発生しやすい傾向が見られます。
例えば、吉良高校の場合、定員が160名であるのに対し、2次募集が70名となっており、全体の約44%が定員に満たない状況です。
幸田高校は、定員240名に対し、2次募集が68名。これは全体の約28%、つまり3割弱の生徒が不足していることを意味します。
岩津高校では、定員120名に対し、2次募集が45名。全体の約37%、つまり4割弱が定員に満たないという状況です。
これらの学校では、2次募集に頼らなければ定員を満たせないという実態があります。
特に吉良高校では、ほぼ半数の生徒が不足している状態であり、これは学校の存続にも関わる問題と言えます。
今後の展望と課題
このような状況が続くと、5年後・10年後には学校の存続が危うくなる可能性も考えられます。対策として、定員数を減らすことも一つの手段ですが、それでは抜本的な改革にはなりません。今後は、学校の形態を変える、特色を強化する、地域と連携するなどの新たな施策が求められるでしょう。定員割れの状況を単に補うのではなく、根本的に公立高校のあり方を見直す必要があります。今後の動向を注視しながら、公立高校の再編についても真剣に議論していくことが求められます。
3. 定員割れが解消された高校
一方、昨年までは定員割れしていたが、今年は解消された高校もあります。
- 小坂井高校・西尾東高校(普通科)
- 令和6年度: 各1名の定員割れ → 令和7年度: 定員割れなし
- 岡崎工科高校(工科系)
- 令和6年度: 28名の定員割れ → 令和7年度: 定員割れなし
- 豊橋工科高校(建築科)
- 令和6年度: 3名の定員割れ → 令和7年度: 定員割れなし
特に、岡崎工科高校は人気が回復したことが注目されます。
4. 依然として定員割れが続く高校
逆に、定員割れの状況が変わらず、むしろ拡大している高校もあります。
- 豊川工科高校(工科系)
- 令和6年度: 18名の定員割れ → 令和7年度: 35名の定員割れ
- 工科高校の中でも人気格差が拡大
- 蒲郡の三谷水産高校
- 令和7年度: 情報通信科・水産食品科・海洋科学科で2次募集あり
- 水産系の高校の人気が下がっている傾向が見られる
5. 専門学科の二極化
専門学科についても、人気のある学校とない学校の差が明確になっています。
- 豊丘高校(生活文化科)
- 令和7年度: 18名の募集
- 生活文化科への関心が増加
- 工業系・商業系の高校
- 岡崎工科高校の人気回復
- 豊川工科高校の定員割れ拡大
- 同じ工科高校でも、学校によって人気の差が大きい
6. 今後の展望
今回の結果を踏まえて、今後の公立高校の動向について考えてみます。
- 交通の便が悪い学校や偏差値50以下の学校では定員割れが起きやすい
- 普通科・専門学科問わず、人気のある学校とない学校が二極化
- 私立高校の授業料無償化が進めば、公立高校の定員割れはさらに加速
- 公立高校の再編が急速に進む可能性が高い
今後、公立高校がどのように対応していくのかが注目されます。
まとめ
令和7年度の募集状況を令和6年度と比較すると、定員割れの増減に明確な傾向が見られました。特に、通学のしやすさや地域の人気、学科の特色によって、募集人数に大きな差が出ていることが分かります。
このまま少子化が進み、私立高校の授業料無償化が拡大すれば、公立高校の生徒確保はさらに厳しくなるでしょう。今後、公立高校の統廃合や再編が急速に進む可能性が高いと考えられます。
今後の動向に注目しながら、公立高校のあり方について考えていく必要があるでしょう。
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守田 智司
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