勉強しない子が増えた理由、そして私たちができること
勉強しない子が増えた理由とは何でしょう?
この問題の背景には、社会や家庭環境におけるさまざまな変化が影響していると考えられます。
特に、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)がもたらした特別な環境は、子どもたちの学習習慣や学ぶ意欲に大きな影響を与えました。
リモート授業や外出制限の中で、学び方や生活リズムが変化し、家庭での学習が難しくなったという保護者の声もよく耳にします。
また、デジタル技術の普及や家庭内でのコミュニケーション不足など、現代ならではの要因も少なからず影響しているようです。
私たちはこれらの背景をしっかりと理解し、子どもたちを支えるために何ができるのかを一緒に考えていきたいと思います。
コロナ禍がもたらした学習環境の変化
1. 突然の臨時休校と学習の中断
2020年春、全国的に行われた臨時休校により、子どもたちは突然学校へ通えなくなりました。この期間、多くの家庭で学習が停滞し、「勉強の習慣」を失う子どもたちが増加しました。特に、学校での対面授業が途絶えたことは、低学年の子どもたちにとって大きな学習断絶を引き起こしました。
2. オンライン学習の浸透とその課題
休校期間中、オンライン授業が導入されました。しかし、家庭でのICT環境には格差があり、インターネット環境やデバイスが整っていない家庭では、学習機会が著しく制限されました。また、画面越しの授業は集中力を維持するのが難しく、対面授業に比べて学習効果が低いと指摘されています。
3. 友達との交流の減少
学校生活での友達との切磋琢磨は、学習意欲を高める重要な要素です。しかし、コロナ禍ではその交流が大幅に減少し、孤立感を抱える子どもが増えました。友達と励まし合いながら学ぶ環境が失われたことは、子どもたちのモチベーション低下につながりました。
4. スマホやゲームの利用時間の増加
家にいる時間が増えたことで、スマホやゲームの利用時間が大幅に増加しました。「楽しい時間」と「勉強の時間」のバランスが崩れ、学習時間が減少する一因となりました。
データが示す現状
新型コロナの影響を具体的に示す調査結果もあります。
- 学習意欲の低下: 東京大学とベネッセ教育総合研究所の共同調査では、「勉強しようという気持ちがわかない」と答えた子どもの割合が2019年の45.1%から2021年には54.3%に増加しました。特に中学1年生や高校1年生での増加幅が大きく、新たな学年への適応に課題があることが示されています。
- 学習時間の減少: 厚生労働省の調査によれば、オンライン授業や自宅学習環境が整っていない家庭では、学習時間の確保が難しい状況にあると報告されています。
- オンライン学習への適応課題: 総務省の調査では、ICT環境や教員・生徒のスキル差により、オンライン授業の効果にばらつきが生じたとされています。
これらのデータからも、新型コロナウイルスの影響が子どもたちの学習環境に与えたインパクトは計り知れないものがあることが分かります。
まとめ——未来への視点
コロナ禍で子どもたちは、これまで経験したことのない学習環境の変化に直面しました。その影響は、勉強に対する意欲の低下や家庭学習の習慣の崩壊という形で現れています。しかし、これを単なる問題として捉えるのではなく、未来の教育を見据えた視点で考えることが重要です。
そこで私が考えたのは、家庭学習の環境を塾が担うことができないかということです。子どもたちが成長し、自ら学ぶ力を身につけるためには、塾そのものが大きく変わる必要があります。この問いに対する私の答えは、従来の「未来義塾」を改め、新しい「学ラボ」という形で、子どもたちに適した新たなカリキュラムと指導内容を作ることです。
コロナ禍を通じて明らかになった課題を解決するためには、これまでの枠にとらわれない大胆な改革が必要です。そして、その改革こそが、子どもたちにとって真に必要な学びの場を提供する一歩になると信じています。これからもその実現に向けて取り組んでいきます。
守田 智司
最新記事 by 守田 智司 (全て見る)
- 「感情を爆発させる力」を勉強に活かす - 2025年1月19日
- 環境が変える「やる気」のスイッチ/無言の応援者 - 2025年1月19日
- 勉強しない子が増えた理由、そして私たちができること - 2025年1月19日
- 家庭で勉強しない中学生たち—保護者の10個の『生の声』から見えてくるもの - 2025年1月18日
- 共通テスト前日、リュックと添い寝ごはんの「未来予想図」を受験生と一緒に見た!『行ってらっしゃい!』 - 2025年1月17日