静寂の中のラストスパート――受験生たちの冬
年末年始の街はお正月ムード一色です。
親戚が集まり、テレビからは新年特番が流れ、家々には笑い声があふれています。
しかし、その一方で、自習室には、今日も高校生が黙々と机に向かっています。
朝9時から夜9時まで12時間、自習室の静寂は続きます。
その中で、生徒たちはひたすらペンを走らせ、目標に向かってひたむきに勉強しています。
年末年始であろうと関係ありません。
彼らは今月18日に迫った共通テスト、そしてその先にある志望大学合格という狭き門を目指しているのです。
大学入試ほど高校3年間の頑張りが試される試験は他にありません。
この試験は、努力して積み上げてきたものしか報われない、本当に正直な試練です。
そして、だからこそ、合格の喜びは何物にも代えがたいものです。
家族と団らんの時間を過ごす代わりに、一人静かな自習室で向き合う彼らの姿に胸を打たれます。
時折、彼らは鉛筆を止め、ふっと壁や天井を見つめてため息をつきます。
その瞬間だけ、緊張感がほどけ、心の奥に溜まった不安や期待がわずかに顔を出します。
しかし、次の瞬間にはまた前を向き、集中して机に向かうのです。
ある生徒と話した時のことです。
入試が間近となり「緊張していないか?」「不安はないか?」と尋ねると、その生徒は静かに、でも力強くこう言いました。
「早く受けたいです。結果はどうであれ、この努力の終わりを見届けたい。」
その言葉には、長い道のりを歩んできた者だけが持つ覚悟と達成への期待が込められていました。
心理学的に見れば、この気持ちは“ゴール接近効果”ともいえるでしょう。
目標が目前に迫ると人は自然と前向きになり、集中力が高まります。
さらに、長期間の緊張状態が続くと、その解放を待ち望む気持ちも生まれます。
彼らは不安と期待の狭間で、まるでマラソンのラストスパートをかけるように走り続けているのです。
「あと少しだ。これまでの努力を誇りに思っていい。自分の力を信じて、最後まで走り切ろう。」私はそう声をかけます。
勉強は決して孤独な戦いではありません。
私は見守り、支え続けます。
私もこの年末年始はずっとMANA LABOをスタートさせるための準備で塾にいました。
皆が正月を楽しんでいる中で、自分と向き合い続ける18歳たちの背中。
彼らの頑張りがきっと笑顔に変わる日が来ることを信じています。
守田 智司
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