一歩ずつ、でも確かに──ある生徒の「変わる力」

 

1学期の終わりに、嬉しい報告がありました。

夏休み前に返ってきた期末テストの成績。

その成績表をそっと差し出したのは、ある生徒。

 

 

入塾してきたのは中学1年の春。

最初の中間テストでは、下から数えたほうが早い順位。

「まずは、苦手な数学だけに集中してやってみよう」

そんな声かけから、その生徒の学びが始まりました。

 

 

とても器用なタイプではありません。

一度で理解できることより、時間をかけてじっくりと向き合うことの方が多い。

でも、だからこそ、焦らず、着実に。

最初からあれこれ手を出すのではなく、まずは“ひとつ”に集中することで、道が開けてくる──

私はそう信じて指導してきました。

 

 

その生徒もまた、それに真っすぐに応えてくれました。

思うように結果が出ない時期もありました。

成績表を見ては、落ち込むこともありました。

でも、少しずつ少しずつ。5位、10位と順位を上げていく中で、

“自分にもできるかもしれない”という確かな手ごたえをつかんでいきました。

そして今回、とうとう二桁の順位へと手が届きました。

 

 

入塾当時の順位から比べると50位UP

 

 

成績表を差し出したその手は、かすかに震えていました。

口数は多くないけれど、表情ははっきりと違っていました。

迷いのある眼差しではなく、過去の自分を乗り越えたという誇りが、そこにはありました。

 

 

その変化は、テスト勉強への取り組み方にも現れていました。

2週間前から計画的に進め、学校の教材も何度も繰り返し解き、

「写すノート」から「考えながら書くノート」へ。

マナラボで学んだ勉強法だけでなく、勉強会で出会った先輩たちの姿を見て、

自分なりに吸収し、変えていったのです。

 

 

それは、“教えられたことをやる”という姿勢から、

“自分で学びを作っていく”という成長への一歩でした。

 

次の目標は、「今回の順位をこえること。」

 

大きな夢じゃなくてもいい。

昨日の自分より、ほんの少しでも前に進めたら、それは大きな進歩。

 

 

私は改めて思います。

塾という場所は、成績を上げることが目的ではありません。

“変われた”と、自分で感じられる瞬間を届ける場所でありたい。

 

 

この仕事を始めて35年以上。

今でも、子どもたちが見せてくれる成長の姿に、私は背筋を伸ばされる思いがします。

 

 

そして何より、あのとき彼女が見せてくれた小さな笑顔。

その笑顔に出会えたことが、私にとっての何よりのご褒美です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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守田 智司

愛知県蒲郡市にあるMANALABO代表。10代で愛知県から大阪、東京まで自転車で走破!大学中は、バックパック1つで、アメリカ1周。卒業後、アメリカ・アトランタにて「大工」を経験。帰国後15年間、大手進学塾の教室長・ブロック長として教壇に立ち、2005年独立。 大型自動二輪、小型船舶2級免許所得。釣り、ウォーキングが好き!作家は、重松清さん、音楽は、さだまさしさんが好き。「質より量より更新頻度」毎日ブログを更新しています。