通信制高校という「新しい学びの選択肢」

先日、ネットの記事で驚くべき数字を見かけました。
高校生の10人に1人が通信制高校に通っているというのです。
その生徒数は、令和6年度で29万人。
なんとこの10年で1.6倍に増加しているとのこと。
数字で見ると、もう「そういう時代に突入しているんだな」と実感します。
記事には、増加の大きな要因として、
新型コロナウイルスの影響で不登校の生徒が急増したことが挙げられていました。
たしかにそれも一つの要因ではあると思います。
しかし私が強く感じたのは、通信制高校の多様な教育スタイルが、
今の時代に合った「新しい選択肢」として定着しつつあるのではないか、
ということです。
学び方はもっと自由でいい
たとえば、角川ドワンゴ学園の「N高」では、
スタジオから入学式をライブ配信し、
全国の生徒がコメントで交流したり、
オンラインで個別指導を受けたりすることができるそうです。
生徒は、自分のライフスタイルや性格に合ったペースで学べる。
これはとても大きな強みです。
そして驚くべきはその進学実績。
東京大学に7人、東北大学に5人、
早稲田や慶応といった難関私立大学にも多くの合格者が出ているのです。
もはや、「通信制=学力的に不利」という時代ではないのだと感じました。
「学校に行けない=失敗」ではない
この流れは、ある意味で「不登校=失敗」という
これまでの価値観を大きく揺さぶっていると感じます。
今の子どもたちは、「通学」にこだわらず、
自分のペースで成長する道を選ぶようになっています。
保護者の方も、「学校に行かなくても学べる」
という新しい価値観を受け入れ始めているのではないでしょうか。
実際、この10年で通学制の高校は全国で148校減少し、
通信制高校は72校増加しています。
大学への進学者も約1万8000人と、着実に増えています。
「通信制高校に通う生徒が1割いる」と聞いて、それはマイノリティだと思うでしょうか?
たしかに10人に1人という数字は、多数派ではありません。
しかし、すでに29万人という大きな規模にまで広がっており、無視できる存在ではありません。
かつては「特別な事情のある人が行く学校」というイメージがあったかもしれませんが、
今は「自分に合った学び方を選ぶ人」がこれだけ増えているという事実があります。
ですから私は、もう「マイノリティ」として扱う時代ではないのでは、
と感じています。
むしろ、「それも一つのあたりまえの進路」になりつつある。
そんな変化の中に、私たちはいるのだと思います。
マイノリティではなく「多様性」の時代へ
実際、この10年で通学制の高校は全国で148校減少し、
通信制高校は72校増加。
大学への進学者も約1万8000人と、着実に増えています。
通信制に通う生徒は、かつては「マイノリティ」と捉えられていたかもしれません。
しかし今や、「自分らしく学ぶ」という選択をした人たちでもあるのです。
私たち教育に関わる者として大切なのは、
「通信制だからダメ」という偏見ではなく、
「通信制も立派な選択肢の一つだ」と生徒やご家族と共有していくこと。
その子に合った道を一緒に考え、
支えていくことが、
これからますます重要になってくると感じました。

守田 智司

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