今の自分を超えて

私は日々、生徒たちと向き合いながら、ある問いに立ち返ることがあります。
それは、
「子どもたちは、なぜ学習塾に通うのか?」
その答えは、突き詰めればとてもシンプルです。
「今の自分を超えて、成績を上げたいから」
それが塾に通う一番の理由なのではないでしょうか。
勉強は一人でもできる。
けれど…
もちろん、自宅で一人でコツコツ勉強できる力はとても大切です。
でも現実は、「わかっていても続かない」「やる気が出ない」「やり方がわからない」といった壁に、
多くの子どもたちがぶつかっています。
人は、自分一人ではなかなか自分の限界を超えることができないものです。
だからこそ必要なのが、「塾」という環境です。
塾の使命は、「あと一歩の力」を届けること
心理学者ヴィゴツキーの考え方に、
「発達の最近接領域(ZPD)」というものがあります。
これは、
子どもが一人ではまだできないけれど、
少し助けてもらえればできるようになる、その“あと一歩の領域”のこと。
この「あと一歩」の部分を支えてあげることが、塾の大きな使命です。
ヒントを出したり、励ましたり、一緒に考えたり…。
そうすることで、子どもはできた”という成功体験を重ねていきます。
学びとは「広い視野」で築かれていく
塾では、ただ問題の解き方を教えるだけではありません。
なぜその問題が解けないのか?
その背景にある理解不足や、周辺の知識の抜けに気づき、
「一緒に学び直す」サイクルをつくることが重要だと考えています。
子どもは、知識だけでなく、
思考力・判断力・感情コントロールなども含めた
全体的な成長の中で学びを深めていきます。
教師は、「過去・現在・未来」を見つめる存在
私たち教師の仕事は、単に「教える」ことではありません。
その子の過去を知り、今の姿を見守り、未来の可能性を信じて、
「今この子に必要な支援は何か?」を考え抜くことです。
・成績が下がった背景にある生活習慣
・モチベーションの上下に影響する家庭や部活の状況
・伸び悩んでいる理由と、そこから抜け出すタイミング
こうしたことまで見据えた関わりこそが、
本当に子どもたちを前に進ませる力になります。
最後に
塾は、知識だけを伝える場所ではありません。
それは、“自分を超える経験”を重ねられる場であり、
一緒に走る仲間と先生がいて、希望を育てる場所です。
そして、子どもたちが「自分にもできるんだ」と感じられるように、
私は今日も、子どもたちの隣に立ち続けます。

守田 智司

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