二月が終わる。 受験が終わって、三日目の二十八日。

二月が終わる。
受験が終わって、三日目の二十八日。
あの熱を帯びた受験の日から、まだたった三日しか経っていないのに、ずいぶん遠くへ来たような気がする。
挑戦したい、と震えるように言ったあの瞬間の彼らの目を、私は忘れない。
やってみたい、その衝動。
無謀だと笑われるかもしれない一歩を、それでも踏み出そうとする勇気。
私は、それを尊重したいと思った。
いや、尊重せずにはいられなかった。
挑戦の先にあるものは、成功か失敗か、そんな二文字で切り分けられるものではない。
そこに至るまでの、熱。
焦り。
迷い。
それでも机に向かい続ける、淡々とした日々。
コツコツと。
一歩一歩と。
誰にも見えないところで重ねられる、静かな努力。
他人が触れられるのは、結果だけだ。
合格か、不合格か。
その紙切れ一枚で語られてしまう世界。
けれど、十五歳の彼らが、この受験という峠を越える中で得たものは、そんな言葉では測れない。
緊張に震えた朝も、涙をこらえた夜も、友と励まし合った時間も、すべてが彼らの内側に堆積していく。
それは、これからの人生への貯金だ。
いや、土壌だ。
未来に芽を出すための、豊かな肥やしだ。
年末も年始も返上した三か月。
土曜も日曜も、入試勉強会を開いた。
同じ空間で、同じ空気を吸い、同じ緊張を分け合った。
私は教える側でありながら、いつの間にか一緒に戦う者になっていた。
受験日は雨だった。
冷たい雨。
けれど、今思えば、あれは恵みの雨だったのかもしれない。
不安も焦りも洗い流し、彼らを静かに送り出すための雨。
そして今朝。
少し強い風。
どこまでも広がる青い空。
その空を見上げながら、ふと思った。
お疲れ様。
受験前と受験後の彼らは、明らかに違う。
顔つきが、声の響きが、立ち姿が。
成長とは、挑戦し続けることの繰り返しなのだと、改めて思う。
やってみたいと願い、踏み出し、傷つき、それでも前を向く。
その姿こそが、すでに尊い。
成功か失敗か。
そんな言葉では足りない。
あの三か月を共に歩んだ日々そのものが、
すでに、かけがえのない成果なのだから。
守田 智司
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