受験生とともに過ごす、大晦日

今年の12月31日は、
これまでの年末とは、少し違う。

21年間、塾をやってきて、
生徒と一緒に過ごす12月31日は、
おそらく初めてだと思う。

今、自習室には4人の受験生がいる。
中学3年生、15歳の男の子と女の子。

静かに、
それぞれの机に向かい、
受験勉強をしている。

年末だから、
年始だから、
受験生にとっては、あまり関係ない。

でも、
「家で集中して勉強できるか」と言われれば、
それはまた別の話だ。

図書館は閉まっている。
静かに、長時間、
受験勉強に向き合える場所は、
意外と少ない。

だから今年は、
希望者だけだけれど、
自習室を開けることにした。

9時から17時まで。
もちろん有料だけれど、
「勉強したい子が来られる場所」を
用意したかった。

なぜ、そうしたかったのか。
正直、はっきりした理由はない。

ただ、
一生懸命やっている子たちで、
その「場」を求めていることは、
強く感じていた。

少しでも、
力になれたら。

それだけだったように思う。

今日は始まる前に、
一人ひとりと、少し話をした。

先日行った第6回の全県模試。
自己採点と、やり直しを一緒にした。

「どうだった?」
「何を感じた?」

こちらから答えを言う前に、
まず、聞くこと。

そうすると、
子どもたちは、
ちゃんと自分の言葉で話してくれる。

以前は苦手だった
数学の空間図形や平面図形が、
解けるようになったこと。

それを今回の模試でも確認できて、
自信につながったこと。

一方で、
社会や理科では、
中1・中2で学習した内容
忘れていることに気づいたこと。

だから、
基礎に戻ってやり直したい、
そう考えていること。

社会は、
この2か月で集中的に取り組み、
点数が上がってきたことが
大きな自信になった。

その反面、
理科が伸び悩んでいること。

問題文を
きちんと読めていないことに
自分で気づいたこと。

最近の理科は、
実験内容も複雑で、
文章も長い。

数値やグラフを
整理して読まなければ、
選択肢も絞れない。

「読み方を変えたい」

そう話してくれた。

話を聞きながら、
私自身も気づかされた。

「読め」と言うだけでは足りない。

本人が、
「今、自分に足りていないもの」に
気づくことが、何より大事なのだと。

見守る、というのは、
きっとこういうことなのだと思う。

答えを先に渡すことではなく、
考えを引き出し、
整理する手助けをすること。

今、
生徒たちは静かに机に向かっている。

私は、
同じ空間にいながら、
その姿を見守っている。

こういう年末があってもいい。

そう、素直に思った。

口先だけで
「応援しているよ」
「頑張れよ」
と言うのは、
あまり好きじゃない。

言うなら、
一緒にいる。

同じ時間を過ごす。

その方が、
ずっと伝わる気がする。

受験生にとって、
年末年始は特別じゃない。

そう言ってきた自分自身も、
今年は、
少し違う年末年始を
過ごしている。

それも、
悪くない。

この時間が、
これからの2か月を
静かに、
でも確かに、
支えてくれる気がしている。

そう思える、
2025年の大晦日。

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守田 智司

愛知県蒲郡市にあるMANALABO代表。10代で愛知県から大阪、東京まで自転車で走破!大学中は、バックパック1つで、アメリカ1周。卒業後、アメリカ・アトランタにて「大工」を経験。帰国後15年間、大手進学塾の教室長・ブロック長として教壇に立ち、2005年独立。 大型自動二輪、小型船舶2級免許所得。釣り、ウォーキングが好き!作家は、重松清さん、音楽は、さだまさしさんが好き。「質より量より更新頻度」毎日ブログを更新しています。