背中を押すのは塾。走るのは自分。きっかけをつかんだ子が伸びる理由

塾の先生を35年やっていると、
「この子は伸びるな」という瞬間が分かるようになります。
それは才能でも環境でもありません。
もっとシンプルで、もっと誰にでも“今から”持てるものです。
そして、その“ひとつの気づき”に目を向けられるかどうかで、
成績の伸び方は大きく違っていきます。
今日は、私が長い指導の中で実際に感じ、
何度も目にしてきた 「成績が伸びる子の共通点」 をお話しします。
親御さんにも、今勉強を頑張る中学生にも、
きっと大切なヒントになると思います。
■塾は魔法ではない。きっかけを渡す場所
まず最初にお伝えしたいことがあります。
塾は魔法の場所ではありません。
塾に来ただけで成績が上がる…そんな風にはできていません。
塾ができるのは、
勉強のやり方を渡すこと
正しい方向に背中を押すこと
一歩踏み出す勇気を与えること
本当にこのくらいです。
その“あと”をどう進むかは、子ども自身が握っています。
心理学では、
人は「自分で決めたこと」の方が力を発揮しやすい
と言われています。
これは特別な理屈ではなく、日常の中でも感じるはずです。
人にやらされると続かない。
でも「自分でやる」と決めたことは不思議と頑張れる。
塾でもまったく同じです。
■努力の主語が「塾」になっている子は伸びない
私はいつもこう思います。
努力の主語が塾になっている子は、伸びない。
先生がなんとかしてくれる
来てさえいれば上がる
任せれば何とかなる
こういう気持ちのままでは、自分の力が働きません。
逆に、
「自分の成績は自分で変える」
と心のどこかで思える子は、伸びるスピードがまったく違ってきます。
勉強は、結局は“自分の人生のこと”だからです。
■“自分から来ている子”は強い
成績が伸びる子には、ひとつ共通点があります。
それは、塾へ“自分から”来ていること。
変わりたい
力をつけたい
上がりたい
この気持ちがある子は、本当に強いです。
どれだけ小さなアドバイスでも吸収しますし、
先生の一言が一気に成長の火をつけることもあります。
逆に、
「親に言われたから」「なんとなく」「仕方なく」
この状態では、心のスイッチは入りません。
心が動かないと、勉強は“自分のもの”にならないのです。
■中学生でも気づける。「自分が走るんだ」と
中学生はまだ子どもと思うかもしれません。
でも、私は知っています。
中学生は“きっかけ”に気づける年齢です。
気づいた瞬間に、ノートが変わる。
勉強時間が変わる。
テストへの姿勢が変わる。
背中を押されて一歩踏み出した“その瞬間”から、
子どもは本当に変わり始めます。
■アリストテレスの言葉に重なる成長の本質
教育に携わってきた私が、心から腑に落ちる言葉があります。
「私たちは、繰り返し行うことによって形作られる。」
成績を変えるのは、塾でも先生でもありません。
毎日の積み重ねを決める“自分”です。
私が35年間見てきた多くの成長は、
すべてこの言葉の通りでした。
塾は追い風。
でも、追い風を受けて走るのは自分。
きっかけをつかみ、
「ここからは自分で走る」と決められた子は、必ず伸びます。
その一歩の気づきこそが、
成績が伸びる子に共通するたったひとつの力なのです。
守田 智司
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