「先生、また来てもいいですか?」言葉にした瞬間、子どもは変わる!

 

1学期もいよいよ終盤に差しかかり、教室には少しずつピリッとした空気が漂い始めた。

 

期末テストまで残り1週間。子どもたちの表情にも、普段とは違う緊張感が見えるようになってきた。

 

そんな昨日、自習室の帰り際に中学3年生のA君が私に声をかけてきた。

 

「先生、明日4時半から6時半まで勉強して、一度帰ってご飯を食べて、それからまた夜7時以降に塾に来てもいいですか?」

 

この言葉を聞いて、私は少し驚き、そしてとても嬉しい気持ちになった。

 

というのも、A君がこうして自分から学習の予定を立て、それを言葉にして伝えてきたのは、入塾以来初めてのことだったからだ。

 

ただ思っているだけではなく、「言葉にする」という行為には、実はとても大きな意味がある。

 

心理学の分野では「言語化(ラベリング)」と呼ばれ、自分の気持ちや意志を言葉にすることで、その内容がより明確になり、自分自身の行動にも強く影響を与えるとされている。

 

また、「自己決定理論」という考え方では、人は自ら選び取った行動に対して、より高いモチベーションを持ち、努力を続けることができるという。

 

つまり、A君の「来てもいいですか?」という一言は、自分の意志で行動しようとする姿勢の現れであり、学習に対する主体性の芽生えだと私は感じた。

 

教育の現場では、「態度変容」という言葉がある。

 

これは、知識やスキルの習得にとどまらず、学びに向かう姿勢や意識が変わることを指す。

 

A君のように、自分の学習スタイルを考え、行動に移そうとする変化は、この態度変容そのものだ。

 

人は、心の中で思っているだけでは、なかなか変わることはできない。

 

けれど、それを言葉にして、自分の耳で聞き、誰かに伝えることで、ようやくその思いが形になる。

 

だからこそ、決意を「言葉にする」ことは、とても大切なことだと思う。

 

そして、私はそんな小さな一言の中に、生徒たちの確かな成長を見る。

 

言葉にする勇気、それこそが、変わろうとする第一歩なのだと改めて思った。

 

 

 

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守田 智司

愛知県蒲郡市にあるMANALABO代表。10代で愛知県から大阪、東京まで自転車で走破!大学中は、バックパック1つで、アメリカ1周。卒業後、アメリカ・アトランタにて「大工」を経験。帰国後15年間、大手進学塾の教室長・ブロック長として教壇に立ち、2005年独立。 大型自動二輪、小型船舶2級免許所得。釣り、ウォーキングが好き!作家は、重松清さん、音楽は、さだまさしさんが好き。「質より量より更新頻度」毎日ブログを更新しています。