「先生、また来てもいいですか?」言葉にした瞬間、子どもは変わる!

1学期もいよいよ終盤に差しかかり、教室には少しずつピリッとした空気が漂い始めた。
期末テストまで残り1週間。子どもたちの表情にも、普段とは違う緊張感が見えるようになってきた。
そんな昨日、自習室の帰り際に中学3年生のA君が私に声をかけてきた。
「先生、明日4時半から6時半まで勉強して、一度帰ってご飯を食べて、それからまた夜7時以降に塾に来てもいいですか?」
この言葉を聞いて、私は少し驚き、そしてとても嬉しい気持ちになった。
というのも、A君がこうして自分から学習の予定を立て、それを言葉にして伝えてきたのは、入塾以来初めてのことだったからだ。
ただ思っているだけではなく、「言葉にする」という行為には、実はとても大きな意味がある。
心理学の分野では「言語化(ラベリング)」と呼ばれ、自分の気持ちや意志を言葉にすることで、その内容がより明確になり、自分自身の行動にも強く影響を与えるとされている。
また、「自己決定理論」という考え方では、人は自ら選び取った行動に対して、より高いモチベーションを持ち、努力を続けることができるという。
つまり、A君の「来てもいいですか?」という一言は、自分の意志で行動しようとする姿勢の現れであり、学習に対する主体性の芽生えだと私は感じた。
教育の現場では、「態度変容」という言葉がある。
これは、知識やスキルの習得にとどまらず、学びに向かう姿勢や意識が変わることを指す。
A君のように、自分の学習スタイルを考え、行動に移そうとする変化は、この態度変容そのものだ。
人は、心の中で思っているだけでは、なかなか変わることはできない。
けれど、それを言葉にして、自分の耳で聞き、誰かに伝えることで、ようやくその思いが形になる。
だからこそ、決意を「言葉にする」ことは、とても大切なことだと思う。
そして、私はそんな小さな一言の中に、生徒たちの確かな成長を見る。
言葉にする勇気、それこそが、変わろうとする第一歩なのだと改めて思った。

守田 智司

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