「努力すれば点が取れる時代」の終わり?──中間テストから見えた“変化”とこれからの学び方

今年度最初の定期テスト、特に中学3年生にとっての1学期中間テストをじっくり見直してみると、はっきりとした“変化”が浮かび上がってきました。
それは、かつての「定期テスト=範囲内からの出題で、課題や授業をしっかりやっていれば点が取れる」という構図が、少しずつ崩れつつあるということです。
これまで定期テストとは、「この2ヶ月間で何を学んできたか」を確かめるものでした。
学校で扱った教科書、ワーク、配布された問題集などから出題され、学習内容の定着を図るものでした。
どこを、どう勉強すればいいのかが明確で、それらを繰り返し丁寧に学べば、たとえ勉強が得意でなくとも平均点を超えることは十分に可能でした。
努力した分だけ結果が出る――ある意味、非常にフェアで分かりやすい構造だったと言えるでしょう。
しかし、今年度の定期テストの出題内容には、明らかに“実力を試す問題”が混ざるようになってきました。
単なる範囲の確認ではなく、入試を意識した応用的な問題、つまり「一筋縄では解けない問い」が全体の4分の1、点数にして約25点分ほど登場していたのです。
中には、教科書や課題に載っていない形式の問題も見られ、「これが解けるか?」という先生からの“挑戦状”のようにも感じられました。
この変化は、決して悪いことだとは思っていません。むしろ、受験を控える3年生にとっては非常に意味のある転換だと捉えています。
なぜなら、実際の高校入試では「範囲の中から」だけでなく、「日々の積み重ね」や「本質的な理解力・応用力」が試されるからです。
たとえ定期テストであっても、今後の受験や進学を見据えた「真の学力」を意識した出題に変わっていくことは、ごく自然な流れなのかもしれません。
ただし、この変化は同時に、勉強の仕方そのものにも「転換」が求められることを意味します。
これまでのように「課題を何回も解いていれば点が取れる」という発想では、通用しにくくなってきているのです。
大切なのは、“教科書を覚える”だけではなく、“学んだ知識を使って新しい問題に対応できる力”を育てること。
そのためには、単に勉強時間を増やすのではなく、「どんな力をつけたいか」「どんな学び方をするべきか」という視点を持った、質の高い学習が求められているのだと思います。
もちろん、これまでと同じように一生懸命に課題に取り組み、教科書やノートを繰り返す努力は、決して無駄にはなりません。
むしろ、それが土台となり、その上に「実力」が積み重なっていくのです。だからこそ、テストで思うような結果が出なかったとしても、自分を責めたり落ち込んだりする必要はありません。
大切なのは、「結果が出なかったこと」ではなく、「何が足りなかったのか」を一緒に考え、次にどう活かしていくかを前向きに捉えることなのです。
私は、こうした変化を踏まえて、これからの学び方を生徒と一緒に考え、実践していきたいと思っています。
定期テストに向けての復習方法、過去問や応用問題の使い方、日々の勉強サイクルの組み立て方まで、一人ひとりに合わせた“今、本当に必要な努力”を丁寧に伝えていきたいと考えています。
そしてその取り組みは、生徒本人だけでなく、保護者の皆さまとも共有しながら進めていきたいのです。
今、必要なのは「何を、どう努力するべきか」を見直すこと。
そして、「努力すれば報われる」というだけではなく、「努力の質を変えることによって報われる時代が来た」と、私たち自身が受け止め直すことかもしれません。

守田 智司

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